Q1.
ポジティブリストって何ですか? 各地域漁業管理機関に公式に登録され、マグロ漁業に関する国際ルールに違反していないことが確認されている漁船のリストです。日本語では「正規許可船リスト」と呼ばれています。正規許可船リストには漁船だけでなく、マグロ類の運搬船も含まれます。また、地域漁業管理機関によってはマグロの蓄養場についても正規リストを作成しています。 |
Q2. ポジティブリストはなぜできたのですか。 マグロ類を対象として操業する漁船は、地域漁業管理機関(Regional Fisheries Management Organization)のルールに従って操業する必要があります。しかし1990年代後半、そのルールを逃れようと、地域漁業管理機関の非加盟国に船籍を移す便宜置籍(FOC)漁船など、違法・無規制・無報告(Illegal, Unregulated, Unreported = IUU)漁船が横行しました。そうした船を無くしていこうとする取り組みの中で生まれました。 ■ 「マグロ資源を持続的に利用するには」国連海洋法・マグロ類地域漁業管理機関(RFMO) |
Q3. いつポジティブリストができたのですか 2001年6月国連食糧農業機関(FAO)で採択されたIUU漁業の防止、抑止、廃絶のための国際行動計画に基づくIUU漁船対策として、最初は、IUU船など、ルールを守らない船のリストを作ろうという作業が行われました。そうした船のリストは「ブラックリスト」とか「ネガティブリスト」と呼ばれていました。しかし、それらの船は、取り締まろうとすると船籍を移し、船名を変え、その実態を完全に捉え切れませんでした。そこで、逆に、ルールを守っている船のリストを作り、リストにない漁船の漁業活動を規制するような取り組みができないかという発想から、「ポジティブリスト」が生まれました。2002年11月のICCAT(大西洋マグロ類保存国際委員会)でこの対策が最初に決定され、他の地域漁業管理機関にも広がっていきました。 2004年に創設されたWCPFC(中西部太平洋マグロ類委員会)を最後に、現在では5つの全てのマグロ類地域漁業管理機関で実施されています。 |
Q4. ポジティブリストはどう作成され、どう活用されるのですか。 地域漁業管理機関加盟国は自国のマグロ漁船で国際的なルールを守っているまたは守ると認めた船を地域漁業管理機関に登録します。対象となる船はマグロ類を対象として操業する船です。(ICCAT, IATTC(全米熱帯マグロ類委員会), IOTC(インド洋マグロ類委員会), CCSBT(みなみまぐろ保存委員会)の場合、船の長さが24メートル以上(ICCATは2009年に20メートル以上に変更) 加盟国は、ポジティブリストにない漁船(IUU漁船)の操業、転載、入港、陸揚げ、漁獲物の貿易(国際取引)を禁止します。 ポジティブリストは、地域漁業機関が行う資源管理をIUU対策、貿易管理の面から支える重要な手段です。 |
Q5. すべてのマグロが対象となりますか。 全てのマグロ類(含むクロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ等、及びメカジキその他のカジキ類)を対象としています。フィレ(頭部、エラ、内臓を除いたものを3枚におろしたもの)、ロイン(フィレを腹側と背側の二つ割にしたもの)、そしてサク(スーパーマーケットで見るような刺身にしやすい大きな切り身)加工したマグロもその対象です。 |
Q6. 生鮮マグロには実施されないのですか。 ポジティブリスト対策の対象となる漁船の多くは冷凍船ですが、生鮮船も含まれています。 |
Q7. 世界のどの国でも実施していますか。 それぞれの海域の地域資源管理機関に加盟している国は実施することになっています。日本の他、EUでは2010年1月からIUU漁業規則(EU's IUU Regulation (1005 / 2008))によりポジティブリストにない船の入港や陸揚げを規制しています。また、米国では2018年1月から「食用海産物輸入モニタリングプログラム」(U.S Seafood Import Monitoring Program : SIMP)により、漁獲から流通までの記録を確認できるようにしています。 |
Q8. マグロの蓄養場にもポジティブリストの導入が予定されているようですが。 蓄養マグロは、1990年代初めにオーストラリアのミナミマグロで始まり、その後数年で地中海のクロマグロ蓄養が急拡大しその供給量を増やしました。そうしたなか種苗魚の漁獲量等その実態がわかりにくくなっていたことに加え、地域漁業管理機関の枠組み外での蓄養事業が拡大していることが発覚しました。世界的にマグロ資源を管理し持続して利用しようとしている中で、資源管理の効果を減殺しかねないそうした蓄養マグロの実態を把握し、不透明な資源の利用を抑制するため、ICCATで2004年からマグロの蓄養場の登録制度が導入され、その後CCSBTでも2009年から始まりました。登録された蓄養場で生産されたマグロのみが国際取引の対象となります。 |
Q9. ポジティブリスト導入から20年近くになりますが、この間にその他マグロの資源管理のために講じられた制度はありますか。 多くのマグロ類で科学的根拠に基づく総漁獲可能量(TAC)及び国別割当量が導入されています。また、対象船の漁業活動の透明化(含む地域漁業管理機関間、旗国間、船主間移動等)のため、漁船の固有識別情報(IMO番号、LR番号)の登録が義務付けられました。その他定期漁獲報告、VMSによる位置報告、はえ縄漁船の洋上転載監視制度(運搬船へのオブザーバー乗船)、寄港国による漁船・運搬船の検査等が実施されています。 |
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