OPRT社団法人責任あるまぐろ漁業推進機構

第2回 「2年目のミクロネシア報告 2 −ポンペイでマグロを食べる− 」

 ミクロネシアでは、サンゴ礁の魚やマグロが豊富に獲れ、かなり食べているようだが、輸入される畜肉や鶏肉の方に人気がある。これは米国の影響が強く、加えて肉の方が調理が楽で、脂があっておいしいことと関連している。魚だけでなく、主食の炭水化物も、タロイモ・ヤムイモ・パンの木の実・食用バナナと実に豊富で、十分自給できるはずなのに、高い金を出しても、コメやパンの方がよく食べられる。

 魚と同様、ローカル食物は調理が面倒で、味が見劣りするのであろう。このため、肥満や成人病が急増している点では、当地も世界の例外ではない。町で「ローカル食を食べよう!」という看板を時々見るし、カツオやキハダの刺身は何とか好んで食べられているので、ローカル食の普及が図られることを期待したい。

 次に、ポンペイで私たちがどんな風に魚を楽しんでいるかを、カツオとキハダを例にとって皆さんに紹介したい。機会があれば、地元の人々にもいろいろな食べ方ができることを教えてあげたいと思う。カツオもキハダもキロ300円ぐらいで売っている。

 カツオはかなりの頻度で売られており、現地人のお気に入りの一つのようである。一人で、3−4キロはありそうなよい型のものを2−3本買っていくのを見かける。大家族制なので人がたくさんいるのだなとは思うけれど、実によく食べている。前に触れたように、大概は刺身で食べるそうである。引き縄で日帰り操業なので、鮮度がよいし、肉の色がすごく赤くて、ルビーのようである。熱帯のものだから脂はないが、トロカツオみたいにクセがなく、続けて食べても飽きがこない。冷蔵庫に入れておいても、解凍したものは1日も置くと色が変わるのだが、生のものは3日間ほどは、ほとんど変色しない。アラは甘辛に強めにショウガを入れて煮て角煮風で食べるし、タタキはフライパンに少し油をひいて、軽く表面を焦がす簡略式で作る。

 角煮はサイコロ状に切ってから、一度熱湯で下ゆでして、冷めるまでそのままゆで汁に入れておき、あとでゆで汁をこぼして、調味料を入れて煮ると軟らかく仕上がる。現地の友だちに、この角煮を持っていって食べさせたら、うまいうまいと喜んでいた。ココナツミルクとカツオでカレーにしたりもするし、韓国風刺身にして、コチュジャンやドウチージャンと刻みネギ、ショウガとともに和えてもいい。

 キハダは20キロぐらいのものが、沖縄の連中が伝えたDrop Stoneという方法で現地の連中が漁獲しており、みんな大好きのようである。この漁法は錘(おもり)に石を使い、こませも縄につけて、100メートルぐらいまで下げて釣るという極めて原始的漁法であるが、結構釣れるようである。

 シイラも揚がっているが、メバチはまず獲れないそうで残念である。これが、夕刻になると、しばしば丸のまま鰓(えら)も内臓も抜かないで大きな台の上に転がして売られている。みんな半身とかその半分とか、かなり大量に買うのであるが、私は家内と2人なので、頼んでさらに小さくしてもらった2キロぐらいを買う。脂はまるきりないのだが、どこでも部位によらず値段は同じなので、ついついトロの部分がついているところを買ってしまう。これも赤身だが、かえって腹身でない方が調理は楽だし、歩留まりもいいことにあとで気がついた。刺身は赤身なので、それだけではすぐに飽きてしまう。そこで、漬けにするとか、アボカドと合わせて中トロ風で食べるといい。余ったものはボイルして、小分けで冷凍しておき、シーチキンの缶詰のようにいろいろと工夫して食べる。刺身や寿司にする時にカツオと同様に、ハタの類あるいはタイの類の白身の魚を合わせて盛ると、見栄えがするし、リッチなものになる。

 カツオと同じぐらいの3−6キロほどの小型のメジも店に出る。(つづく)

ローカル食を食べようという看板

(バナナ、パンの木の実、パンダナスの実、
ココナッツ、パパイヤ、タロイモなどが見える。
魚版の看板もある。)